冬合宿・御岳飛騨頂上、継子岳
日 付 2004年1月5日から1月6日
山行者 HT、OS
コースタイム;
行動記録
- 1/5(月)
濁河温泉の標高はすでに1800m。ひざ丈の積雪の表面がキラキラ光っているのが、気温の低さを感じさせる。天気はまずまずのようで、本峰の一部が高曇りの空の下に望まれる。あらかじめ小坂の役場に確認しておいた覚明荘へ計画書を提出し、御嶽神社里宮へ渡る橋手前の除雪車倉庫わき駐車場に車を止めて出発。ここから1〜2パーティが歩いたと思われるトレースが付いているのを確認。草木谷の吊り橋を渡って、樹林帯の登りにかかる。小坂ルートは最近整備がされたようで、要所ごとに新しい番号付きプレートと赤布がつけられている。深雪のラッセルとルートファインディングに苦労した数年前の合宿とは雲泥の差である。次第に肩の荷が重くなるのを感じながらも、正午前にお助け水(積雪期は利用不能)のある八合中小屋跡に到着。
時間に余裕があるので、しっかり整地をしてテントを設営する。その後、HT氏はペナントポールを持ってルート工作に出かけ、OSは水作りとトイレ作りにかかる。この日はほとんど風がなく、おだやかな一日だった。週間天気予報では予定の山行期間中は、7日にやや崩れるものの大荒れになる見込みはなく、あすはきょうと同様の好天らしい。予定より高いところにBCを上げることができたので、翌日はテントをこのままにして目的地の継子岳を往復することに計画を変更する。日暮れ前に夕食を終えて19:00過ぎに就寝。- 1/6(火)
4時起床。ラジオの通信状態が悪いため昨夜入手できなかった気象情報を朝食後の600ころ、ようやく確認。きょういっぱい好天の予報。しかし、テントの外はガスに包まれ、視界がきかない。長さ2m余りのペナントポールを逆U字型にザックに固定して出発。まだ薄暗い樹林帯を歩き始めて間もなく、森林限界を超える。きのうHT氏が立てておいてくれたポールを確認しながら、トレースをたどる。HT氏の工作ずみトレースはルートが南東から真南に折れて斜面のトラバースに入る手前までで終わる。視界がきかないなか、ここからは地形図とコンパス、そして雪に埋もれたハイマツの切れ目などでわかる夏道の痕跡をたよりに慎重にルートを選び、ポイントごとにポールを立てていく。南斜面が切れ落ちた草木谷源頭に近づくと、トラバースの夏道はジグザグの登りに変わる。このあたりからは吹きさらしになるので積雪は少なく、雪が締まってくる。ジグザグが終わって急斜面のトラバースに入る頃には雪面がクラストし、ワカンでは危険なのでアイゼンに履き替える。アイゼンの爪がよく効いて、“キュッ、キュッ”と音を立てるのが心地よい。やがて前方の稜線に張り綱らしい人工物を確認する。飛騨頂上は目前だ。
飛騨頂上の小屋に至るトラバースをショートカットして主稜線上に上がると、さすがに独立峰の御嶽らしく北西の季節風が吹きつける。目出帽を首まで下ろして上着のフードをかぶっても、顔面の左側が凍えてくる。このころには山腹を覆っていたガスはすっかりひいて、青空の下、真っ白な御嶽の主峰・剣が峰方面や広大なクレーター・四の池、それにめざす北方の継子岳が一望できるようになった。気をよくして真北に向かって歩き出すが、吹き上げてくる冷たい強風に手足が冷えてくる。季節風をまともに受ける主稜線をさけて、ルートをやや東側に取り、山頂手前の風の当たらないところで行動食を取ったあと、石板の林立する独特の景観を眺めて継子の山頂着。麓には新設のスキー場と日和田高原、その先にゆったりした南斜面を見せる引き締まった乗鞍、さらに遠くは槍穂連峰と今回も登り損ねた笠ヶ岳が望まれる。BCには昼前についたので、昼食(この日の夕食メニュー)を取ってからテントを撤収し、下山することにする。3泊可能な準備をしてきたので惜しい気もするが、計画の目標を達成したので、妥当な判断だろう。
濁河温泉で入浴できる所をさがすが、この時期にはすでに閉まっている旅館が多い。朝日荘の新館か?○○さん似の女性が受付に出たところで入浴できることがわかり、ここで暖まったあと、朝日村のOSの実家に一泊して帰路につく。
当初の予定であった笠をしくじり、やはり物足りなさは残るものの、諸条件に恵まれて久しぶりに目的の山頂を踏むことができ、スマートな冬合宿となりました。今回も取り組みをリードしてくださったHT氏に感謝します。 (以上OS)任務反省・雑感
気象・食糧・(総括も含む)
12月中旬、笠ヶ岳の偵察・デポ山行では、つくづく自分の甘さを痛感した。シーズンに数パーティーしか入らないこの山域の偵察山行としては、時期が遅すぎた。積雪量の多さと実力のなさで、1時間も歩いていないのに、ルート(夏道)が解らず時間をロスし、デポ地点の三分の一にも到達しない。笠に行くには、事前のルート工作(無積雪期に、赤布等をルート上の木の高い部分に取り付ける)を入念にするか、休みを一週間程とって、長期戦の構えで行くしかないだろうと、OS氏と話し合って、正月山行を確実にピークが踏める別の山に切り替え、濁河温泉から御岳飛騨頂上・継子岳とした。
幸い好天に恵まれ、また、年末年始に入山したパーティーのトレースもあり、計画より1日早く下山できた。これも、渉外等事前準備を入念にしてくれたOS氏のおかげである。
気象担当としては、AMラジオの入りが悪く、またしても天気図が執れなかった。対策としては、FMで天気予報を行なう時間を事前に把握しておかなくてはいけないと思う。
食糧については、ペミカン・アルファー米主体として、献立・重量ともにこんなものだと思う。
数年来思い描いてきた笠ヶ岳が失敗し、落胆したが、気持ちの切り替えの早い性格が幸いした。 また、事前のトレ山行を組むことで、気持ちを集中することが出来た。次回は、今回の反省を踏まえ、さらにステップアップした山行が組めればよいと思う。
(以上、HT)装備
- 新たに長尺のペナントポールを用意したが、携帯性・視認性が良く、有効だった(東京の板橋労山のをまねさせていただいた)。
- 燃料のガス(厳冬期用)4本は2名、最大3泊4日日程には適量だった。
- ビーコン、ロープを携帯したが、現地
- での状況判断により、BCに残置してアタックには持っていかなかった。
渉外
小坂交番、小坂町役場に電話して現地状況を確認した。冬季は登山口の届出書(計画書提出箱)が撤収されるため、計画書は小坂交番または覚明荘(主人が遭対協員?)など営業旅館に提出するようにとのこと。
(以上、坂田)取り組み姿勢
- 計画段階から「お客さん的(?)」傾向があったことを反省しなければならない。
- 笠ヶ岳での合宿を強く希望したHT氏が、引き続きリーダーを引き受けてくださったが、12月まで頭の中心にあったのは合宿よりも事故報告書関係のことであり、取り組みのかなりの部分をリーダー任せにしてしまったように思う。
- 御嶽の計画書については、OSが原案を作り、HTが一部を修正した。
- 当初予定の笠の計画については、デポ山失敗による中止というお粗末な結果になった。デポ山の時期が遅すぎたことと、無雪期に赤布を付けるなどルート工作を確実におこなっておくことが必要だった。
当日の行動
地形図、コンパス、高度計を使って要所ごとに現在位置と進行方向を確認し、場所を選んで帰路のための標識を残すなど、慎重なルートファインディングを実行した。今後もこのように心がけたい。
健康管理
一昨年の秋以来、直腸出血、胃潰瘍など消化器系の不調が続き、これと併せて異常に冷えに弱くなったと感じていたため、冬合宿参加には不安があった。今回は準備にも大きな問題がなく、身の丈にあった計画内容であったことと、リーダーや天気など諸条件に恵まれたおかげで表面化することはなかったが、もし荒天が続いたりしたらどうなったか、自信がない。日頃から健康管理に努め、今後も冬山が続けられるようにしたい。
御嶽について
- 御嶽は生まれ育った朝日村では身近な山であり、村の南端がちょうど今回のルートである飛騨頂上と継子岳の間に接している。
- 数年前、このルートで冬合宿にのぞんだときは、腰までの積雪でラッセルに体力を消耗したうえ、強風、低温、ガスによる視界不良と条件が厳しく、飛騨頂上に達するのがやっとだった(それでも、それゆえの充実感があった)。
- 今回は冬の御嶽の全容(性格には北半分)を目にすることができ、故郷の山に対する認識を新たにすることができた。
- 濁河温泉からの帰路では、夕日に染まる北端の継子岳から南の継母連峰までを一望することができ、御嶽のスケールの大きさを実感することができた(御嶽の版図は穂高連峰のそれに匹敵する広がりを持つのである)。
- もちろん無雪期も含め、何度か登った山であることが大きいのだろうが、また、今回好条件に恵まれたことも大きいのだろうが、故郷の山には親しみと安心感が持てる。多くの火口湖を、持ったユニークな景観も真っ白な雪に覆われて目に新鮮だった。今後は継母まで足を延ばしたり、無雪期に周辺の沢へ入ってみるなど、故郷の山のいろんな魅力を再発見してみたい。
(以上、OS)取り組みの経過(OS)
- 10月 HTより笠ヶ岳冬合宿の計画表明。
- 11/5 例会で合宿案内と参加者募集、メンバー確定。
- 11/12 運営委員会で計画原案承認。時期はずれのため県連では合宿扱いとせず、県連への報告義務の対象外となることを確認。
- 12/16 笠ヶ岳デポ山失敗により計画変更を決定。ペナントポール製作。
- 12/22 御嶽濁河ルート、飛騨頂上―継子岳に計画変更し、OSよりHT、会長のMK(緊急連絡先)に計画書配信。
- 12/29 最終ミーティング(装備確認と分配)
〔トレ山〕
- @12/14 能郷白山 CL.KO、OS(体力トレ、ワカン歩行)
- A12/21 伊吹山 CL.HT、SLOS、HI〔講師〕、他7名(ワカン歩行、台風姿勢、ロープワーク、ビーコンを使った雪崩講習)
- B12/28 伊吹山 CLOS、TK、I氏b〔元会員〕(体力トレ、アイゼン歩行)
会計報告(HT)
1.共同食糧
ペミカン用食材
1,013
アルファ米等
2,184
ラーメン・酒
1,180
小 計
4,377
2.ガソリン代
3,720
3.共同装備
ペナントポール
1,023
ガス・ローソク
2,373
4. お土産代
740
合計
12,233
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