利尻山1,718.7m

日  時:2006618(日)

目  的:旅行に行ったついでに百名山の1番目の山に登る(山に行ったついでに旅行する?)

メンバー:yuririn、宿で一緒になった大学生の女の子

コ ー ス:鴛泊コース

     利尻グリーンヒルYH 4:30→尻北麓野営所・3合目 4:40/4:50→5合目 5:40

     第一見晴し台・6合目 6:00→7合目 6:20→長官山・8合目 7:20/7:30

     利尻山避難小屋7:45→雪渓→9合目 8:15/8:30→利尻山頂上 9:15/9:55

     利尻山避難小屋10:05/11:20→8合目 11:45→長官山・8合目 11:45

     6合目 12:20→5合目 13:00/13:10→4合目 13:45→尻北麓野営所・3合目

     14:00/14:15→利尻グリーンヒルYH 14:40

 

 アンチ百名山の私が、なぜか突発的に百名山の一番目の山、利尻山に登る事になってしまった。大垣駅で、花々の咲く礼文島大きな紙(B全)のポスターを見て、私は、北海道の礼文島に行く決心をした。礼文島に行くのなら、利尻島も行かなきゃ。利尻島に行くのなら、利尻山も!という訳で、利尻山に登る決心をした。友達を誘っても、なかなか都合が合わないと思い、一人で行く事にした。友達と行くと、それはそれで楽しいが、疲れるからとか、体力が心配だといい、結局、山に登らずに終わってしまいそうな気がする。だから、一人の方が全て自分の思う通りに動ける!

 北海道の北の離島である、こんな所まで一人で来てしまった。だから、一人で登るかもしれない。私にとって初の単独山行になるか?私は、あまり、単独山行をしたくなかった。だって、私は、初の単独山行は、毎日見ている、ふるさとの山、伊吹山と決めていたから。

  知らない単独山行が恐いというよりも、伊吹山を裏切ったようで、イヤであった。それに、利尻山は人気が高く、毎日たくさんの人が登っていると、役場に電話して聞いていたので、単独山行と言っても、そんなに不安は無かった。

 ちょうど、前日、礼文島からの船で一緒になった子がいたので、登ってもらうよう頼んだ。しかし、彼女は、少し迷惑そうだった。彼女は札幌の大学生で、しかも、登山部なので、私が遅くてついいて来れないんじゃないかと思ったようだった。

 一緒に歩き出すと、彼女のペースはいい感じで、置いてかれることも無く、無理をする事も無く、一緒に登っていった。彼女のペースは早いかと思っていたが、(もっと早く歩けるのだろうが)写真を撮ったり、風景に見とれていたりしていたので。そのうちに、だんだん打ち解けて、いい感じになった。彼女は大学を卒業した後、就職をしたが、自分は、やっぱり医者になりたいと、会社を辞めて医学部の大学を入り直したそうだ(すごい!)。そんなわけで、大学生といえど、私と歳が近かったせいか、話をしながらの登山で、楽しかった!

 朝は早くて、4時半に宿(ユースホステル)を出た。(ユースホステルはホテルや旅館は送迎無料なんだけど、ここのユースホステルは基本的に送迎をしないので、500円の交通費を払う)宿から車で尻北麓野営場(キャンプ場・3合目)まで10分くらい。でも、歩くと1時間くらいかかるそうだ。もうちょっと余裕があれば、歩くのもいいだろう。島なので海が近い。だから、海水にタッチしてから登れば、海抜0メートルから登った事になる。ここは、日本で最も北の方にあるし、夏至に近いから日が長い。日の出は3時半だし、日の入りは7時20分頃なので、明るい時間を充分取れる。しかし、ユースホステルは、街から離れていて遠いのが難点だ。(街から離れていて、エゾカンゾウ群生地が近いのがいいのだけど)他のホテルや旅館は、3合目まで歩いて3040分くらいで行けるし、しかも、海にも近い。

 道は、最初はなだらか。途中、甘露泉でおいしい水を汲んで、水の補給。北海道の水はキタキツネの寄生虫がいて飲めない。しかし、この島にはキツネがいないらしい、飲む事が出来る。木々の葉が風にそよく音や、鳥のさえずりを聞きながら歩く。とても気持ちがいい。4合目、5合目、ずんずん登っていく。だんだん木が低くなっていき、見通しが良くなっていく。ときどき振り返ると、山のすそ野まで見渡せ、さらにその向こうには海が広がっている。昨日までいた、礼文島も見える。天気が良くて、本当に良かった!「○合目」の看板のそばは、常に広いスペースになっていて開けていて、展望が良くなっていた。疲れていなくても、こまめに休憩を取りたくなってしまい、つい、見入ってしまう。本当に気持ちのいい山だ。見た目は男性的な山だけれど、天気さえ良ければ、そんなに厳しい山ではない。

 長官山からは、なだらかな尾根道。本当に気持ちのいい尾根道だ。

 利尻岳避難小屋着いた。興味本位で中を覗いてみると、使えそうな小屋だ。今度来る事があったら、ここに泊まってみようかな?

 しばらく歩くと雪渓があった。とてもなだらかな斜面を横切る道。15メートルくらい雪の上を渡る。たとえ足を滑らせても、滑落の心配は無いようだ。晴れの天気と、登りで暑くなった体に、雪渓の冷気がほんのり涼しくて気持ちがいい。それ以外は、雪の上を通る事は無かった。軽アイゼンを借りたが、使う使う事は無かった。

 その後の9合目を過ぎると、急な斜面が続くと聞いていた。急斜面の上、富士山のような軽石の石が滑りやすくて、危ないとの事。たしかにそうであったが、至る所にフィックスロープが張ってあり、思ったほど、難しくは無かった。しかし、下りは恐そうだ。

 そんな坂が続いが、あれよと思ったら、もう頂上だった。富士山くらいの標高差があるからと、覚悟していた。去年富士山に登ってとても辛かったからだ。富士山と違って、標高が高く無いため、空気が薄く無いので、ちっとも辛くなかった。

 頂上にはお社があった。もともと北海道は、アイヌとかが住んでいたから、山岳信仰とか無い(私の勝手な想像)だろうし、アイヌの人が山岳信仰していたとしても、お社なんて建てないだろうから、あるとは思っていなかった。考えてみたら、本土からの人がやってきて、百年以上も経つだろうから、あっても不思議は無いかあ…。

 頂上はとても眺めが良かった。私は海が見える山を登る事も少ないので、海が見えて感動。しかも、360度海に囲まれた山だ。遠くに昨日までいた礼文島が見えて感動。北海道(宗谷岬?)が見えて、また感動。もっと感動したのは、サハリン(外国)が見えて感動!だって、日本の山に登って、外国が見えるなんて、思ってもいなかったから。

 下りは、予想どおり、ずるずると足を滑らしてしまった。2回ほど尻モチをついて下る。フィックスロープが、過保護なくらいたくさん掛けてあるので、大丈夫でした。

 眼下に広がる雄大な風景を見ながらの下山。避難小屋の付近で、ご年配の男性にカメラのシャッターを押してほしいと声をかけられた。これ以上登れないから、避難小屋まで来た証明写真を撮りたいのだそうだ。見た目、少なくとも70歳を過ぎているのに(80歳過ぎている気がする)、単独でここまで来るのはすごい。山が好きで、他にも山に登っているけれど、歳が歳なので体力が無くて、途中まで引き返す事が多いのそうだ。頂上行く体力が無いと、初めから山に登るのを辞めてしまうのではなく、行ける所まで行ってしまおうというこの気持ちには感心した。私も、年を取って体力が無くなっても、こんなふうにでも、山に登れたらなあ、と思った。

 途中、道の脇にミズバショウのような葉を発見。よく見ると、たくさんある。ここは、湿地ではない、そしたらもしかして、と思って、葉の下部分を注意深く見るとザゼンソウの茶色い花がついていた。それから、ギョウジャニンニクもたくさん生えていた。どうして、ギョウジャニンニクが分かったかというと、前日に登った同じ宿に泊まって人達が、山で取ってきて夕食の時に食べていたからだ。葉をちぎってみると、ニンニクのような匂いがする。間違い無い。

 下山は下山で、このように新しい発見をしながら、下っていった。登山口は、キャンプ場になっているので、何人かがテントを張っていた。山に登る人はもちろん、バイクなんかで北海道をまわっている人達もテントを張っている。北海道はいたるところにキャンプ場があるので、テントを持って旅するには快適と聞いた事がある。キャンプ場の看板のそばに、頂上で会った人が旅館の車を待っていた。ユースホステルよりも、旅館やホテルだったら、こうやって迎えに来てもらえるのに。しかし、私は、厚かましくも、頼んで乗せてもらい(ヒッチハイク)、30分の徒歩を車で5分くらいに短縮する事ができた。

 思ったほど体力的に辛くなかったし、ヒッチハイクした分早く帰る事ができたので、ユースホステルでシャワーを浴びた後、自転車を借りて、姫沼までサイクリングした。自転車で楽かと思ったら、海から吹く風とても強く、向かい風で辛かった。姫沼は、本屋で立ち読みしたガイドブックで見たときから、情緒ある静かそうな小さな沼で、一度行ってみたかった。しかし、実際に行ってみると、静かどころか、観光バスが4台も停まっていて、人の多い、とてもにぎやかな沼であった。沼の真ん中にたくさんの白い鳥がいた。白鳥ではないなあ…なんの鳥だろう?後で島の人に聞いたら、カモメだそうだ。この島では、カモメは、こうやって、かなり奥まで平気で入ってくるのだそうだ。その人は、観光客で白鳥だと喜んでいる人がいて、おかしかった、と言っていた。姫沼の帰りは、遠回りをして、エゾカンゾウ(ニッコウキスゲのような花)がたくさん咲いている草原を見ながら帰った。建物が無いので、その草原の向こうには、利尻山の立派な姿まるまるが見える。とてもいい風景だ。行きは向かい風だったけれど、帰りは追い風で、気分のいいサイクリングだ。一人でなんとも贅沢な時間を過ごした。帰ってから、ユースホステルのすぐそばにある海に突き出した丘、夕日ヶ丘展望台に登って夕日を見た。小さな丘だったのに、ちゃんと三角点があってびっくりした。(今、新田次郎の「剣岳」読んでいて、三角点がやけに目につく)その丘には、たくさんのエゾカンゾウが咲いていた。途中で雲に隠れてしまったが、なかなかいい日没だ。オレンジがかった空の下、海に突き出した小さな岬と無人の小さな島ポンモシリが逆光で黒く見え、黄色くキラキラ光る海にくっきり。その向こう、遠くに見える礼文島が紫色に霞んで見える。私は、うっとりとその風景を眺めていた。地元の人がカメラを持って、夕日を映そうと構えていたが、「今日は駄目だ、ちっとも良く無い!」と言っていた。「え〜、今日も綺麗ですよ。もっと綺麗な日があるの?」と訊ねたら、「綺麗な時は、こんなもんじゃないよ。もっと空が赤くなって。とても綺麗なんだ!」と、言った。今日ですらこんなに綺麗なのに、空いっぱいに赤くなったら、どんなに綺麗なんだろうか…。

 その後は、利尻富士温泉に出かけ、とある人の家に寄りました。着いた日(前の日)に知り合った、ペシ岬(通称ゴリラ岩)のそばにギャラリーを構えるカメラマンの家です。島の人達も一緒に、夕飯をよばれました。かなかな濃い内容の一日であった。メンバーの一人は、もともとの島の人でなく、利尻が気に入って、しばらく住んでいるらしい。その人は、私が姫沼に自転車行く時に道を聞いた人であった!何たる偶然!

 夕食は、めちゃめちゃおいしかった!カメラマンが自ら料理した、輸入したパエリア鍋で作った本格的なシーフードパエリア!材料の魚介類は、島の友達にもらって、料理したそうなのです。すごくおいしかった!さすがです。ワインに、サラダに、肉付き軟骨の唐揚げに…。本当に、ごちそう様でした。

 そのカメラマンは、関東出身なのだが、利尻島が気に入って住んでいるらしい。たくさんの綺麗な写真が飾ってあるオシャレなギャラリーだ。窓から海が見渡せ、礼文島が見える素敵な場所にあった。夕方になると、夕日が沈むのが見えて、ロマンチック!夕日が見えない時間でも、とってもいい風景が見える。フォトギャラリーなんだけど喫茶店にもなっていて、コーヒーを飲みながら、その素晴らしい風景を見ながらぼーっとするのもいい感じ。本当に楽しい利尻島でした。(山行記録以外の事も書いてごめんなさい)