2008年 3月8日(日曜日 點名 中之原 673.0m 3

コースタイム図書館7:30→坂本8:30→休憩9:209:30→ 鉄嶺峠10:4510:55→ 中之原11:5013:20→
       坂本
15:00→ふじはしの湯15:1016:20→ 図書館16:35

参加者:T.K  その他2

記録;旧坂内村坂本集落と旧藤橋村西横山集落を繋ぐ峠が中部電力横山ダムの西横に在り、その北側に今日訪れた山が聳えている。峠の名は鉄嶺峠と書き、「くろがね」とルビが地図には打ってある。この件について抜粋文を載せる。「鉄嶺」と記されていることである。これは『濃州徇行記』も同様であった。同絵図には読み仮名は記されていないが、「嶺」は「ミネ」ではなく、「トウゲ」の意である。「鉄」は「クロガネ」であるから、「鉄嶺」の二文字で「クロガネトウゲ」と読むことは間違いない。詳細は岐阜国道事務所のホームページの中に「美濃の峠」が掲載されているのと、http://miharu.mizubasyou.com/20071125kurogane/20071125kurogane.htmlでも「美濃の峠」を基にして検証文を掲載されているので此方を見て貰うとして、山名は地図には載っていないものの「てつれいさん」と明記する大垣山協の「美濃の山 第1巻」に記されているが、我々は従来から山名の無い、またはハッキリしていない山に関しては、国土地理院の前身である陸軍陸地測量部が作成した、「點の記」に記されている點名を使う事にしている。その為、點名のみで表題を記す。  何時もこの峠は坂本側から入山しているので、今度も坂本側から入山する。それは、峠道が未だ残っており、距離は長いが全体的には緩やかという事もある。それ以上に四季を通しての景色が良い事だ。 横山ダムを過ぎると山峡(やまあい)を縫うように国道303号線は造られている。旧坂内村の最初の集落「坂本」は、合併後揖斐川町坂内坂本と名称変更をしている。今走っている国道はバイパスにあたり、鉄嶺峠に入る峠道の取り付きは分岐した旧道側に在る。旧道入り口はほんの少し行き過ぎた所から入れるが、本来の旧道はこの分岐した所から入れたが、寒谷を渡った橋の所で閉鎖されてしまった。 分岐点に車を停め、入山の準備をする。日陰という事もあり路上の残雪は凍っていた。此のところの降雪で積雪は凄いだろうと思っていたが、(あに)はからんや通常の3月の山であった。((あに)はからんや=意外な事) 日陰に残雪は在るものの幾重にも別れた峠道には殆どといっていい程残雪は無く、冬枯れの夏草の中を倒木を避け、低潅木を避けて行く。取り付きの右側には元の田圃が広がり、刈り取られた(かや)ろうか3つの束にして集められていた。昔来た時は未だ稲を作っていたが、今は萱を作っているのだろうか。 一歩一歩高度を稼ぐこの路からは左手眼下に坂内川が小さく見える。尾根筋に作られた峠道は一旦勾配を緩めてから急斜面をジグザグで登りだすと尾根から離れ、急斜面を右手に谷を見ながらのトラバースと化す。何年か前の台風に因り相当数の大木が倒れ、路は崩れてしまい昔程歩き易くなくなってしまった。慎重に進み鞍部と一番接する所で復路の説明等をする。 南斜面を歩いて来たから残雪に手こずる事もなかったが、此処から西斜面に向きを変える。途端に積雪が増え潜る事(はなは)だしくなってきた。初めて輪カンを装着する。が、部分的に南斜面になると雪は消える。 峠間近まで来た所で完全に雪は消えてしまったので、輪カンを外す。ところが峠には膝下まで残っていて横山側は雪だらけ。横山側から入山していたら峠までをラッセルしなければならなかった事か。 峠の北側にはお地蔵様が名古屋方面を向いている。雪から顔を出したお地蔵様の写真を撮るのを楽しみにしていたから、がっかりしてしまう。そんなに残雪が在ったら此処まで来れないかもしれないけどね。 峠には何の説明版も無い。風が走り寒い。南に向かったであろう人のビニール紐だけがゴミと化して残っていた。 お地蔵様の台座には封の切っていない缶ビールと日本酒が(そな)えられていた。K.Kさんが(つま)み代わりにチョコレートを供える。 10分程の急斜面を登る。雪解け水で泥濘(ぬかる)んだ所多く、滑って手こずる。ピークに立つと再び残雪が出てきたが、未だ輪カンを着ける程でもないのでそのまま進路を東に取り、斜面を下るが脚を獲られるので装着する事にする。 この山は動物が多い。今回は麓から鹿かカモシカの糞や足跡を多く見せられてきた。猪の食事の跡も。そして威嚇も受けた。頂上に向かっていると今までと違う足跡が出て来たので観察をする。そう、猿の足跡だ。雪面に着いた足跡は、初めてお目にかかる。人間の掌と同じ形。今朝通った様だ。 平らになった尾根は雪原と化している。三人三様で好き勝手に歩く。尾根端の南斜面まで来ると雪は解けて無い。(せっ)()に似た形で残っている。地形や樹木の影響を受けて解ける速さが違うので、観るだけでも楽しくなってくる。 前回来た時に確か在った「三角点を大切にしましょう」の杭が出ていればと記憶から探すが見当たらない。K.Kさんのリングの付いていないストックを刺してみると、持ち手部分を残して入ってしまう。1mは超している様なので三角点探しは諦めて、その付近に居るという事にしてスコップを出してベンチとテーブルを造る。 T.Kさんが造ってきた水団(すいとん)入りトン汁をガソリンコンロで温める。その間にバーボンウスキーで一杯。風も無く、温かく、木立の間から観る山々を()で至福の一時を過ごす。 出発間際になって一組の夫婦連れが遣って来た。横山側から入山して多い所では胸までのラッセルをして来たと言う。その分遅れた事だろう。この山で他人と会うのは今回始めて。超マイナーな山から少し昇格してしまったようだ。 腐った雪に脚を取られながら先程のピークまで戻る。そして北に向かい斜面を下る。地図と地形の違い等説明をする。樹林の中を行くのは、楽しい。無雪期と違い、雪肌が地形の形をはっきりと見せてくれる。落葉そして冬枯れで遮る物が少なくなる。こんな季節が一番楽しい。 鞍部まで降りて来た。往路の説明で解っていたのか、躊躇無く峠道に向かって向きを変える。峠道まで降りてから、輪カンを外す。脚が軽くなる。 今日の山行は無事終わる。楽しい一日だった。帰路、「ふじはしの湯」に入り汗を流してから帰る。

 以下、画像。里山の、のんびりとした雰囲気がよくわかります。