乗鞍岳ツアーコース;記録

 乗鞍岳はスキーの使用と標高2000mまで延びたスキー場リフト、更に森林限界までのツアーコースの切り
開きの利用で厳冬期の登頂も難しくない。しかし、これは条件の良い時のみで冬型の気圧配置下では北アル
プスの3000m峰らしく厳しい烈風が吹き荒れる。

 前日の低気圧通過で当日は、冬型の気圧配置となり森林限界を越えると激しい地吹雪とホワイトアウトとなる。
森林限界までのツアーコースは迷う心配もなく、また、つぼ足なら膝から腰のラッセルなのだがスキーなので快
適に高度を稼ぐことができる。森林限界を越えた位ヶ原とよばれる辺りは、地形の変化に乏しく目標物もない。

本日は登頂を諦め、僅かな晴れ間に位ヶ原山荘と思われる方向を確認し滑降を開始する。この斜面はツアー
コースから外れているので滑る人が全くおらず、しかも斜度20度程の快適な無木立の中斜面というすばらしい
コースである。 本日は我々3人だけの深雪のユートピアで、思い思いバージンスノーにシュプールを刻む。粉雪
を舞い上げて滑る深雪滑降はスキーの中で最も気持ちが良い。

 位ヶ原山荘を左手に通過し振子沢に入る。樹林帯に入るとと更に雪が深くなり、冷泉小屋の付近で1本北側
の沢に乗り換える。この沢は深くて急で、所々シュルントが口を開け、滝つぼを覗かせている。

 沢を離れ、赤ペンキに導かれ鳥居尾根に入る。ここは尾根の幅は狭いが樹間が広くツアーコースらしい所で
あるが、気温の降下によって雪質がブレーカブルクラスト(モナカ雪)となり滑りにくい。

 斜度が緩くなり小さな起伏を幾つか超えるとやがてスキー場の鳥居尾根ダウウンヒルコースに飛び出す。昨日
ダウウンヒルスラローム大会が開かれたというガチガチのコブ斜面を滑り、車の止めてある休暇村ゲレンデに向
いながらゲレンデスキーも楽しむ。

 アフタースキーは、やはり温泉ということで、乗鞍高原温泉のゆけむり館に寄って、その後そばを食べて帰路
に着く。 

                                         記録:HK

 

左上3枚;誰もいない快適な斜面を独占する。        右上;最高到達点  右下;切開きツアーコース