放山;記録
頚城山塊の北部は標高が低くても豊富な積雪量と無木立の山が多く、山スキーにとって好スロープがあちこちに広がっている。この山域の火打から北へ延びる尾根上に今シーズン新たにスキー場がオープンし、非常に楽にアプローチができるようになった。
実際にスキー場に降り立ってみても期待を裏切らない山々が眼前に広がっている。ARAIスキー場と同じくゲレンデ外の滑走も認めているスキー場は、コース的にも非常によく、YS親方でも満足できる滑走感が味わえると思う。緩急変化に富んだゲレンデは、北斜面のため雪質も良いようで、一本滑ってから出発することにする。
放山へは、リフト終点から尾根を伝って非常に楽に到達できる。放山山頂は山頂というよりは尾根上のコブといった感じであるが、北側の海と南側の山岳の大展望台となっている。東〜南〜西側は、妙高頚城の明峰がぐるりと取り囲み、特に上から下まで全く樹林帯の無い火打山と焼山が圧巻である。北側は、急峻な鉾ヶ岳の背後に日本海が広がり、雪の白と海の青のコントラストが鮮やかである。また、遠く佐渡の純白の山が日本海に浮かんで遠望できる。
雪はよく締まったザラメ雪に表面霜ができ、その上に数センチの新雪が載っている状態である。この表面霜は弱層となって表層雪崩の起きやすい状態であるが、埋没する危険のない小規模にとどまると思われる事、斜面に緩急のある事、下に人がいないのがはっきりと目視できる事、メンバーの技術は中級以上である事等のチェックリストでGOと判定し滑降を開始する。
西飛山ダムへ下る斜面は、上から下まで適度な中斜面が続き、大斜面が終わるとまた大斜面があるという素晴らしいコースである。雪崩の危険のある箇所は予め人工雪崩を起こしながら進む。雪質はこの暖かさで重い新雪となり、メンバーは苦闘している。アイスバーンやピステの雪に慣れているこの時期は特に上下動を意識的に大きくとるようにしなければいけない。
素晴らしい滑降を楽しんだ後は、ほぼ水平な林道をしばらく進み、少し登ってゲレンデに合流する。
帰路に寄った柵口温泉では、この辺りは防雪工事がされる以前には、部落が消滅して数十人が死亡する大規模な雪崩の発生地帯であったことを知る。
記録:HK