山行記録;

4月も中旬というのに12日は大垣でも降雪があった。東北地方の上空には−36度以下の寒気団が入り、冬型気圧配置が強まっている。

 予定では新潟経由で行く計画であったが、北陸地方は雪が深く高速道路のチェーン規制等が予想されるため、東北・福島経由で向うことにする。大型車の多い東名高速を走り、首都高速に入る。霞が関付近では、米大統領来日が近い為、検問準備中である。去年ならこの付近の通過に緊張を強いられたかもしれない。(オウム事件があったからです。)東京を抜け東北道に入ると車は非常に少なく、時速1?0キロ巡航に速度を上げ北を目指す。白河の関を越えて関東から東北に入ると本格的な雪となる。福島で高速を降り、栗子峠の山越えで山形県に入るのであるが、路面は圧雪状態となっており、完全に厳冬期に戻っている。白布温泉に近づくと雪は更に深まり、駐車中の車が雪に埋まっているのが見られる。

 午前六時半、白布湯元Pに到着する。東京経由なので距離が750kmと長くなったのに意外と早く着いた。積雪路を含め平均時速88キロはなかなかのペースであった。  

白布湯元からロープウェイで天元台へ、ここから3本のリフトを乗り継ぐのであるが、雪が深いためリフトの除雪作業が手間取っており、最上部のリフトが動き出したのは11時ころとなった。それまでは、あいかわらずの吹雪の中ゲレンデスキーを楽しむ。日本有数の豪雪地帯だけあってスキー場のコメツガの大木も中は雪に埋まっている。 リフト終点の北望台から、せめて西吾妻山まではと思い出発するが雪が深い。ワカンのWHさんは膝から腰のラッセルとなり、非常に苦しそうである。中大巓と西吾妻山のコルを目指して真南へむかっていたが、非常に悪い視界と深い雪のため、進路を南東に変え中大巓を目指すことにする。

山頂付近は、4月中旬なのにモンスター型の樹雪原となっている。我々中部地方に住む者にとっては、なかなか見ることの出来ないすばらしく奇怪な風景である。

午後になると更に風が強まり、霧も濃くなってまったく視界は閉ざされた。ゴーグルはすぐに氷りつき、ゴーグルを外すと睫毛が氷って前が見えない状態である。道に迷って遭難すれば、八甲田山の青森第5連隊のように立ったまま樹氷になって凍死するだろうと想像される。

このあたりは地形の変化が乏しく、しかも登りのシュプールも完全に消えている。このためコンパスを見ながらの計路滑降となる。斜面の上も下も分からない様な吹雪なので、止まっていても滑っているような、滑っていても止まっているような変な錯覚があって面白い。やがて辺りの木立が無くなりゲレンデに出たことに気づく。

体が冷えた後の温泉は最高!ということで、ゲレンデを滑り降りて白布温泉にむかう。この温泉は昔から奥州三高湯の一つとして有名で、今回は歴史を感じさせる東屋に入った。

翌日は大峠を越えて会津の喜多方に入る。この地方は酒所なので造り酒屋を見学する。説明・試飲付きで料金は無料である。酒の好きなTHさんは特に楽しめたようで、中部地方で売られている日本酒と比べると問題にならないくらいうまいということでした。そして帰路沿いにある熊野神社長床もついでに見学する。ここは平安中期に源頼義が前九年の役の武運を祈って勧請したもので、平安末期の建立といわれる長床が見ものです。この様に東北は山スキーだけでなく、温泉、酒、また歴史的に見て大変興味深い所です。

                                   記録:HK