中央アルプス 黒川滑降(宝剣小屋~駒ヶ根)

1996年3月20日

記録

メンバー

萩Nケンチャン、オーロラ輝子

コースタイム

3/20大垣4:30-大田切発電所前7:00/8:16‐バス‐しらび平8:50/9:00-ロープゥエイ‐千畳敷9:10/9:40-宝剣小屋10:20/10:30ー駒飼の池-黒川大滝11:30-黒川渓谷-宮田高原分岐14:30-大田切発電所前16:40/17:10-大垣20:30
降りを参考

現地の状況
など

  • 高度な山スキーを目指す場合、優秀な氷雪技術+優秀なアルペンスキー技術+完璧な装備の3つの要素が必要です。今回参加されたオーロラ輝子さんは3要素をバランス良く備えており、困難な箇所が予想された今回のコースも余裕をもってこなすことが出来ました。
  • 駒ケ岳ロープゥエイによって標高2640mまで体力消耗ゼロで登る。今回のコース全長13km、標高差2000mに対してロープゥエイの始発時間9時は、やや遅すぎる気がする。もたもた下れば大田切発電所前Pに明るいうちにたどり着くことはできないことが予想されるからである。
  • ロープゥエイを降りた千畳敷は、春の移動性高気圧に覆われ標高の割りに穏やかで、軽装の登山者も目立つ。しかし、アイスバーンの上に新雪が10cm程積もっており、宝剣岳側、伊奈前岳側共に新雪雪崩のデブリが押し寄せて登るものを威圧している。
  • 昨年の雪崩事故の教訓と周りの人の目も気になるので右に大きく回り、カールの底を経て登る。40分程で登った稜線は360度の大展望だが時間がないので早々と下る。
  • 宝剣小屋直下の雪渓最上部でアイゼンをスキーに替え、滑降を開始する。北斜面なので雪面はアイスバーンでストックも刺さらない硬さであるが、斜度は最大20度程なので回転しやすい。まもなく大斜面となり、中央アルプスにもこんな所があったのかと思った。
  • 完全に氷結した駒飼の池を左手に見て通過し、谷筋に沿って斜度約30度のルンゼ状急斜面を通過すると再び大斜面の滑降となる。ここも伊奈前岳方面から雪崩のデブリが押し寄せ注意が必要である。
  • 一旦斜度が緩くなり、前方の斜面が急に落ち込んだところに出る。ここが完全に雪に埋まった黒川大滝上部である。滝の下は廊下状となっており滝心を下るしかないようなので、斜度45度の急斜面を横滑りで慎重に下る。
  • 廊下状の底を抜けると広い沢状の斜面となる。雪質もザラメとなり快適である。しかし、この斜面もすぐに終わり、密な樹林帯に突入する。ここからは少しアップダウンもあり、ボーゲン、横滑り、後進、階段登高等あらゆる技術を駆使して進む。更に行くと、水流が現れ大きなシュルントが口を開けて待ち構えており、生き残りゲームのようなコースである。幅50m程のスノーブリッジをスキーで渡ったりとスリルを味わう。
  • 苦しい滑降が終わり、やがて林道に出てほっとする。途中1箇所林道が崩壊していて階段登高して高巻きしたが、それ以外は雪も良く滑り速度も最高20km/hで快調に進む。雪崩のデブリが林道を埋め、急斜面で渓谷に臨む所を横切る箇所も多いが、雪も軟らかく問題なく進む。
  • 快適な林道滑降を続けてゆくと、右岸側の黒川山方面からの大雪崩の爪痕に大変驚かされる。かなりの大木もなぎ倒され、デブリは完全に黒川の流れを堰き止めている。
  • 宮田高原への分岐の所まで来ると林道は除雪されており、滑降はここで終了となる。駐車場までは、まだまだ延々と林道歩きであるが、黒川渓谷やカモシカを間近に眺められ、人が殆ど入らないメインルートから外れた冬の中央アルプスの自然に触れることが出来た。
  • 殆ど休憩らしい休憩も取らずに、延々7時間の長いコースであった。

写真等